CSファミリー劇場で「ウルトラセブン」HDリマスター一挙放送(拍手!)
でもやはり12話は欠番。円谷の鉄のカーテンは高く硬く頑固です。
「ウルトラセブン/第12話 遊星より愛をこめて」
(1967年12月17日初回放送/実相寺昭雄監督)
本編とは関係なく、雑誌上でスペル星人につけられた心無い肩書きによって社会問題に発展し、以後あらゆるメディアへの露出を封印されたアンタッチャブル・ストーリー。
結局、封印が生み出したものは、裏ビデオ末端価格○○万円という闇マーケット“12話市場”。
手元のビデオ(VHS)もそんな1本。
冒頭にカウントダウンが入っているので、流出元は放送用完パケテープだと思われます。
スポンサーであるタケダ製薬の“♪タケダタケダタケダ~”に引き続き本編突入(所謂「タケダCM版」)。
脚本は佐々木守。科特隊のフジ隊員である桜井浩子が、アンヌの親友・早苗役でゲスト出演。
自らが開発したスペリウム爆弾の実験によって血液が汚染され、新鮮な血を求めて地球に来たスペル星人。
『実験は成功した。我々スペル星人は地球人の血で生きていけるのだ!』
スペル星人のひとりは早苗の恋人、佐竹。事実を知らされても恋人を信じる早苗。セブンがスペル星人を倒した後、早苗を慰めるアンヌ。
『夢だったのよ』
『現実だったわ。私忘れない。地球人も他の星の人も同じように信じあえる日が来るまで』
その会話を聞いてそっとつぶやくダン。
『そうだ。そんな日はもう遠くない。だってM78星雲人である僕が、こうして君たちと一緒に戦っているじゃないか』
観て頂ければ分かりますが、作品そのものにはまったく罪がありません。むしろ種を超えた信頼に対する希望の物語です。
宝島社の「怪獣学入門」(初版)には、この社会問題に対する問題提起(実は騒いでいる人たちは本編を観てもいない)を扱った2ページの記事があったのですが、いつの間にか削除され、別の記事に差し替えられていました。
“あらゆるメディアへの封印”とはこういう事か。大人の世界は非情です。
生きているうちに12話のHDリマスターが観たいなぁ・・。