
学生さん達が伝説の事件を検証をするためにカメラ担いで山に入ったらカメラ残して失踪。残された映像には…。
というまんまブレア・ウィッチな話なのですが、横っ飛びの仕方が半端ないので、印象深い作品に仕上がってはいます。
「ディアトロフ・インシデント」
(2012年/レニー・ハーリン監督)
モチーフになっているのは“ディアトロフ峠事件”。
映画用の設定かと思いきや実際にあった事件でした。
時は1959年2月。ソ連領ウラル山脈北部でスノートレッキングをしていた男女9人が不可解な死を遂げました。
どれくらい不可解かと言うと、争った形跡も外傷もないのに2人が頭蓋骨骨折、2人が肋骨損傷、1人は舌を抜き取られ、数人は放射能を浴びていた…。
いやあ、不可解です(笑)。

ソ連の捜査当局は「抗いがたい自然の力によって9人が死に至った」として事件後3年間、事件現場への立ち入りを禁止しました。
怪しいなんてもんじゃありませんね。雪男、宇宙人、政府の秘密実験、山の呪いなど議論百出。
んで、現在。アメリカの大学のとある女教授がこのディアトロフ峠事件を心理学の研究課題に指定したのが悲劇の始まり。
受講生徒ホリー、映画学科のジェンセン、録音係のデニス、登山家のアンディとJPの5人は、ディアトロフ峠事件の検証ドキュメンタリー映画を撮るためロシアへ。
前半はブレアウィッチ同様どうでもいい(と思える)シーンが続きますが、終りまで観るとあちこちに伏線が散りばめられていた事が分かります。
一番の振りがディアトロフ峠事件発生時に捜索隊に加わっていたアリャ73歳の証言
彼女は言う。『遺体は全部で11体あった』と。11体? 2人多いじゃないか…。更に続けて、
『最後に見つけた2体の傍には見たことも無い機械があった』
そして雪山に分け入った一行が見たものは…というのが後半の見せ場になっていくのですが、ここで何とハーリンはオカルト話の大ネタ“フィラデルフィア計画”を引っ張り出してきます。

ネタとしては申し分無し。あちこちに疑問点が残る荒だらけの脚本がちと気になります(突っ込み所の宝庫)が、ハーリンらしい豪腕な演出で何とか引っ張りきっています。

「オカルト好きだし、B級だし、ハーリンだし、細かい事は気にしないぜ」という人なら結構楽しめると思います。
※フィラデルフィア実験の様子をハッタリかまして描いた「フィラデルフィア・エクスペリメント」はこちら。