『私には感情が無いからな…その代わりに君がいる。君が隣にずっと居てくれるなら…私も変わることが出来るだろうか?』
色々な人が『好き』を重ねて来ましたが、私はナナに対するハチのこの一言が一番グッときました。
さて、最近では珍しくなってしまったぶち抜き連続2クールが大団円となりました。
毎回楽しみにしていましたし、実際楽しんだのですが、何ざんしょこの索莫とした消化不良感は。
途中に挟まれる料理はなかなかに美味なのですが、工夫のないメインディッシュが何回も出てきたせいで、どうにも印象が散漫に。
多少の粗や難があっても“終わり良ければ全て良し”。しかし、この最終回のとっ散らかり具合は…。
「ダーリン・イン・ザ・フランキス/第24話・わたしを離さないで」
(2018年7月7日BS11放送/錦織敦史、岡本学、黒木美幸演出)
エヴァがハーラン・エリスンならこっちはカズオ・イシグロという訳ですか。
最終回は太陽系の外側にワープしたヒロ&ゼロツーと地球を(人類を)再び蘇らせる13部隊というふたつの闘いが描かれます。
もうまるっきり尺が足りません(笑)。
使える資材とどこかに生き残っているかもしれないコドモを探してひとり旅に出るゴロー。
残っている資料をかき集めてコドモの老化抑制の研究に打ち込むイクノ。
コールドスリープから目覚めて再び13部隊に合流したナオミ。
ココロの出産。イチゴの懐妊。イクノとナオミの百合関係、フトシの結婚と子作り、ナナに寄り添うことで感情を補填しようとするハチ。
どれをとっても1エピソード作れそうな素材なのに全部表層描写だけ(矢吹健太郎先生はここいら辺、補完してくれるのだろうか?)。
肝心のヒロとゼロツーも「すみません、その展開何回目ですか?」で流石に感動には至らず。
最終決戦と地球の生活、どっちか一方ガスっと省略してしまった方が良かったのではあるまいか(どっちを落とすかは好みの問題ですが、私なら地上を残して宇宙を落とします)。
ヒロとゼロツーが生きて地球に戻れないのは覚悟の上でしたが、転生もありきたりだよなあ。
「トップをねらえ!」をトレスするのであれば、相応のカタルシスも用意してくれないと(やはり「プラスティック・メモリーズ」の脚本家に書けるお話はこれが限界か)。
つくづく「トップをねらえ!」「トップをねらえ2!」は良く出来た作品だったんだなぁとしみじみ思った最終回でした。