≪分からない。この人が何を言っているか…分からない≫
丁寧。人物の動きも背景の変化もほとんどないのにお話が停滞したように感じないのは、感情の機微を細かい演出で丁寧に拾っているからだと思います。
「やがて君になる/第1話・わたしは星に届かない」(2018年10月5日深夜BS11放送/加藤誠演出)
小糸侑(こいと ゆう)、高校1年生。中学卒業時に告白されたが返事保留。
<本で読む、歌で聴く恋はキラキラしてて…私だってその時になればきっと羽が生えたみたいにフワフワしちゃったり、そんな期待…だけど…私の足はその時になってもしっかり地面を踏みしめていて>
<大丈夫、私は他の人より羽が生えるのが遅いだけできっと今に…>
『私も付き合おうって答えられるようになりたかった。だけど私には特別って気持ちが分からないんです』
相談相手はひょんな事から出入りするようになった生徒会の役員・七海燈子。2年生。
『私は生徒会の七海燈子。よろしくね』『よろしく…お願いします』
七海が男子生徒からの告白を『私はただ誰に告白されても付き合うつもりないだけだから』と断っていたから。『だって今まで好きと言われてドキドキしたことないもの』と言っていたから。
自分と同じ“何かを特別に思う気持ちが分からない”人だと思って。
でも違った。
『先輩は…先輩は私と同じじゃないんですか…?』
『ううん違う。だって…だって君のこと…好きになりそう』
百合の波動が聞こえる…。
シリーズ構成・脚本は花田十輝。「宇宙よりも遠い場所」「シュタインズ・ゲート ゼロ」そして本作。この人こんなに高打率でしたっけ?