ロシア連邦北カフカーズ連邦管区チェチェン共和国。
二度に渡る紛争と内線で経済の80%が損失したと言われている国。
現在の政権は親ロシア・反独立派ですが、独立派はこれを傀儡政権と見做してゲリラ化。
先鋭特化した武装集団はテロリスト集団の様相を呈し…
「コードネーム:リクイデーター」
(2018年/アレクサンドル・アラヴィン監督)
よくここまで内容が伝わらない邦題をつけたものだと感心します。
おまけにジャケが軍事アクションを思わせるデザインで誤解満開。
(Mi-24とかちゃんと登場するので嘘ではないのですが…)
お話の骨子は、チェチェン独立派v.s.FSB(ロシア連邦保安局。KGBの後継組織)。
独立派のリーダーは流血上等の強硬派シャミル・サルマノヴィチ・バサエフ。
最新鋭の携帯型地対空ミサイル「イグラ」をチェチェン独立派が強奪。
2004年時点で「最新型ですね」「いよいよ投入ですか」という会話が交わされているので、弾頭を大型化するとともに射程を延伸した9K338 イグラ-S(イグラ-スーペル。NATOコードネームSA-24グリンチ)の事と思われます。
イグラSは暗号コードを入力しないと発射しても目標追尾が機能せず命中しません。
コードを解読するよりコード不要の旧型を買い付けた方が早いと判断したシャミルは早速旧型を手配。
その一方で、2004年9月1日、ロシアの北オセチア共和国ベスラン市のベスラン第一中等学校を占拠、7歳から18歳の少年少女とその保護者、1181人を人質に籠城すると言う大規模テロを敢行(ベスラン学校占拠事件)。
3日間の膠着状態の末、制圧されましたが、386人以上が死亡(うち186人が子供)、負傷者700人以上の犠牲を出す大惨事となりました。
この一件は組織内外で波紋を呼び…。
ベスラン学校占拠事件は「与件」なので、細かい説明はありません(ワールドトレードセンタービルの崩壊映像が流れたら何が起きたか分かるよね?と同じ扱い)。
彼らの次のターゲットはG8サミット。こんな所でロケットぶっ放された日にゃ…。
という理想をはき違えたテロ組織の暗躍vs執念の公安捜査みたいな図式なので、どちらかと言えば「刑事モノ」もしくは「実録路線の007」という箱に入るお話です。
そこいら辺間違えると壮大な肩透かしを喰らうので、ご用心くださいませ。
おまけ
FSBのベテランエージェントである主人公イゴールの下に配属された新人局員の趣味は「折り紙」。ちゃんと日本語でORIGAMIと言っています。
折り紙は国際語なんですねえ…。
最後に泣かせる小道具としても機能して大活躍でした。
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★本日5月27日は中南米最大の反政府武装組織(だった)コロンビア革命軍(FARC。1964~2017)の結成日。
その活動に関連した作品と言えば…
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】