『…まだ勝てると思うか?』
『いいや…でも…せめて、死ぬところまで足掻いてみようぜ。俺達は往生際の悪い調査兵団だからな…』
2009年の連載開始から12年。謎と伏線の満漢全席が遂に決着。
『終わった…何もかも』(by力石徹)な気分です。
「進撃の巨人/単行本第34巻(最終巻)」
(2021年6月9日発売/諌山創著)
ジークのエルディア人安楽死計画に背を向けて、地鳴らしを発動したエレン。
既に地表の大部分(7割? 8割?)が幾千万の巨人に踏み潰され、(パラディ島を除く)人類は絶滅秒読みファイナル・カウントダウン。
それはアルマゲドンか、サード・インパクトか、はたまたワルプルギスの夜なのか。
人類を救うべくエレンを追撃する調査兵団&マーレ軍残党混成部隊。
エレンの真意はどこに? それはあの日幻視した避けられぬ未来なのか。
後出しジャンケンの宿命で、どうしても読んでいる間中、過去作の名シーン・名台詞がフラッシュバック(実際、同じポーズ、同じセリフとかありましたし。あと、流石に今回だけは具体的なネタバレは避けたいので。まぁ一部本編の台詞も混じっていますが)。
『何を願うの?』
『そ、そんな事をしたら…』
『さあ、叶えてよ、インキュベーター!』
『あなた自身が導いた、この世の終わりなのよ』
『みんなが!! 死んじゃうんだよ!! 動け!! 動けよ!』
『アルミンを…返せ!』
『わたしは人間をほろぼすことにした』
『ゆるしてくれ明…わたしはおろかだった』
『他人の存在を今一度望めば再び心の壁が全ての人々を引き剥がすわ。また他人の恐怖が始まるのよ』
『僕の心の中にいる君たちは何?』
『希望なのよ。人は互いに分かり合えるかもしれない、という事の』
『好きだという言葉と共にね』
人類が、いやこの星が紡いできた百億の昼と千億の夜の中締め(宴たけなわではございますが…)。
いや正直、得心行かないところも多々あります。え、何でそうなったの?その割に予定調和じゃね?的な。
そこいら辺は作者も分かっているようで、おまけ漫画の「進撃のスクールカースト」で自虐的に触れておりました。
2021年は(庵野作品としての)「エヴァンゲリオン」と「進撃の巨人」という2大叙事詩が大団円を迎えた年として記録される事でしょう。
諌山先生、お疲れ様でございました。
そしてMAPPAの皆さん、頑張ってください(ハードルはとてつもなく高いですが、必ず歴史に名を残します)。
※すみません、ひとつだけネタバレを。
飛びついて来たファルコをガビがそのままフロント・スープレックスで後方にぶん投げるシーン。コマの後ろの方でこそっと描かれた背景ですが、ここは是非とも映像化してください。
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★本日6月12日はグレゴリー・ペック(1916~2003)の命日(合掌)。
グレゴリー・ペックと言えば「ローマの休日」「白鯨」「ナバロンの要塞」ですが、本日は「それを虚構とは誰にも言えない」な戦慄の2本立てを。