デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【GHQが隠蔽したかった映像とは】五人の斥候兵【過去記事再リンク】

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『おい、腹が減ったろ。飯の前にこれ(生卵)を飲んでくれ』

『ありがとう』

『ほら、飯だ。今あったかい汁がくるぞ』

『ありがとう』

『ほら、汁だ』

『ありがとう…ありがとう…ありがとう…ありがとう!』

戦友の生還を喜んで歌う「君が代」。恐らくは玉砕するであろう総攻撃出陣に被る「海ゆかば」。

しかし、GHQが本当に封印したかったのは、このような「思いやり」とか「ヒューマニズム」だったのではあるまいか。

恒例「8月15日」。昨年はコロナ禍で飛ばしてしまいましたが、今年はこれを。

「五人の斥候兵」(1938年/田坂具隆監督)

盧溝橋事件の翌年、国策により製作された戦意高揚映画。

所謂「支那事変(←変換出来ない!)」の端緒。1941年に「大東亜戦争」に含まれることになったため、その終期は「太平洋戦争」の終結と重なる事に。

そして、終戦後、本作のフィルムはGHQに接収され、返却されたのは1968年。

200名を数えた部隊を80名まで減らしながら、中国側の拠点をひとつ制圧した岡田部隊。

そこに下った敵陣への偵察命令。

岡田は五人の兵士からなる斥候隊を組織し、敵の情報収集に向かわせましたが…。

前半は部隊内での日常風景。殺しても死なない連中がポツリポツリと話す「戦友の死に様」。

後半が敵陣に進入し過ぎて戦闘となってしまった斥候兵5名の顛末。

仲間を想い、部下を想い、負傷して尚現場を離れようとしない兵士。

国策映画故の演出と言ってしまえばそれまでですが、死地を共に生きる(死ぬ)者の感情というのは案外こういうものなのではないかという気がいたします。

印象に残ったシーンは、大量にゲットしたタバコをどれから吸うか揉めるところ。貴重品の「(ゴールデン)バット」か、それ以外か。

『今夜にでも戦闘があったらどうする?バットがあるのにバットをのまずに死んでけるか!』

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極楽…。


イタリアのベネチア映画祭にて〈大衆文化大臣賞〉を受賞。外国における日本映画の受賞第1作となりました(黒沢明監督「羅生門」のベネチア映画祭グラン・プリ受賞は1951年)。

途中、ブツリブツリと不自然にシーンが変わるところがあるので、オリジナルはもっと長かったのでしょう(リバイバル公開版は78分)。

フィルムは紛失していると思うので、せめてデジタルリマスターを施して日本語字幕(滅茶苦茶聞き取りにくい)をつけたバージョンを作ってください(映像遺産ですよ)。

 


★これまでの8月15日【過去に張っていたリンクはYahooブログ時代のもので、現在無効。この機会に張り直しておきます】

 

 

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