『のう兄貴。たとえ100人の子分がいようとも、1,000人の子分がいようとも、人間なんちゅうもんは、こないなちっぽけな弾1発で死によんで』
『よう分かっとるやんけ。親分にそう言うてやれや』
筋か政治か任侠か。掛け違えたボタンは正される事なく、積もる不信は反旗となって。
相変わらずの真っ直ぐさではありますが、白竜にしては珍しく厄ネタ寄りのキャラ設定。
若頭解任、そして破門。
最早、堅気になるしか道はないかに見えましたが…。
「やくざの憲法 赤字破門」(2003年/津島勝監督)
赤字破門。ちょっと耳慣れない言葉です。
「破門」はやくざ社会における懲罰のひとつ。最も重いのが「絶縁」。次いで「破門」。
「絶縁」と「破門」の違いは、「破門」には「復縁」の可能性(交流のない他の組に移るなどすればヤクザ渡世を続けることもできる)があるのに対し、「絶縁」にはそれがないということ。
しかし、名目上「破門」であっても、効果としては絶縁と同じになる隠しコマンドがあります。
それが「破門」の文字を朱書きにする「赤字破門」。
これが回ったらもはやこの世界で生きていくことは不可能。
破門状を出した組織が解散でもしない限り無効にはなりません。
なら、解散に追い込んでしまえば…。
天堂組組長・天堂広重(山本昌平)とのすれ違いから若頭を解任され赤字破門状を回された津上剛次郎(白竜)。
他勢力と手を組むには破門を無効にする必要が。つまりは天堂組を…。
お話は、天堂組の権謀術策の前に津上の野望が(一旦は)阻まれる所でエンド。
如何にも続編作ってシリーズ化、な終わり方ですが、今日現在後続作は無し。
残念ではありますが、何でもシリーズ化してどこまで観ればいいのか分からなくなる風潮にはちと抵抗があるので、これはこれで良いのではないかと思います。
★ご参考~本作と同じ津島監督が、組発個人宛てではなく組発組宛ての絶縁状「義絶状」を描いた実録ものが、
★本日1月14日はフェイ・ダナウェイ(1941~)の誕生日(おめでとうございます!)
昨年はピーター・フィンチの命日にも引っかけて「ネットワーク」をご紹介しましたが、今年は「もうちょっとでカルトだったのに…」なこちらを。