デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【サメ、ワニの次はタコ】シン・オクトパス【吸盤の数だけ抱きしめて】

サメ系・ワニ系と来て次なる中国産激安CGモンスターは「タコ」。

体当たりや噛みつきと言った「ぶちかまし」系が主攻撃のサメ/ワニに比べ、タコは絡みつく・締める・刺す・引きずり込むと言ったテクニカルな攻撃を展開する事ができるので、絵的な変化が付けやすいという利点はあります。

ありますが…。

「シン・オクトパス」(2020年/フランク・シィァン監督)

邦題は例によってアルバトロスのやっつけ仕事。原題は「大章魚(BIG OCTOPUS)」でまんま大タコ。

海辺で海鮮食堂を営むフォンが珍しい形のタコを捕獲。どう見てもふた昔前の火星人とか金星人(8本足のグレイ)ですが、こいつは75年前に遺伝子操作で誕生し、今も生き続けているBIG OCTOPUSの子供でした。

次世代産むのに75年!?


この親タコが子供取り返そうと大暴れ。正しく「ゴルゴ」「ガッパ」の系譜です。

背景はやや凝っていて、大戦末期に一発逆転を狙ったドイツが中国の孤島で「強化兵士」を作り出すための動物実験を繰り返していましたがことごとく失敗。唯一、強化試薬の投与に成功したタコが脱走しそのまま終戦。研究データは闇から闇。

このドイツの研究に協力した中国人科学者の孫リン(遺伝子研究機関の社長)、まだ生きている科学者の同僚が率いている軍(どこの国に属しているのか、ただの傭兵なのかも不明)、女性海洋学者ズーモーとその恋人フォンがタコ争奪戦。


うまく撮れば盛り上がりそうな設定ですが、関係性が説明不足な上に超テキトー。

更に撮るべきカットを押さえていないので整合性無視して話が飛ぶ飛ぶ。

ズーモーも乗っているリンの船を軍が制圧するのですが、乗り込む描写がありません。「出発!」とか言って車走らせた次のシーンでは航行中の船の上。お前らどうやってその船乗った?


その船を高速艇で追うフォンですが、次のカットではリンの船の上。お前いつリンの船に乗り移ったんだよ!? いやそれ以前に船の航行ルートどうやって知ったんだよ!?

最後は皆で閉鎖&廃棄された孤島の研究所でタコに撃ち込んだ成功試薬を探すのですが、いやいやいや、研究所の場所知っているんなら最初にそこ行けよ。

大タコ捕獲したいのか、殲滅したいのか、成功試薬確保したいのかどれなんだよ!?


そんなこちらの疑問をよそに次々タコの餌食になっていく軍人たち(とばっちりで船に乗っていた研究員も次々)。

当時の研究成果がどうなったのかも不明(ズーモーはリンにデータの公表を約していましたが、それらしい描写無し)。

タコ大暴れのシーン以外はテキトーの佃煮な海洋パニックアドベンチャーでした。

P.S. あとできれば邦題は「シン・オクトパス」より「シン・テンタクルズ」の方がグッと来たなあ。

★ご参考~タコ三連発

★中国産「シン」シリーズ2連発。

★うちの子返せ!2連発

 

 

 

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