『あの頃は良かったな』
『また、あの頃か。最近誰もがそれを口にする。あの頃って一体いつだ?』
『あんたがあんただった、みんながみんなだった時代のことだよ』 しまった。生まれる時代を間違えた。
「アゲイン AGAIN 【オール・ザッツ・ニッカツ・シネマ】」(1990年/矢作俊彦) 矢作俊彦が(着流しやくざ物を除く)往年の日活アクション映画の名シーンを再構成したアンソロジーです。 案内人はエースの錠こと宍戸錠。 『俺の名はエースの錠。生まれながらの殺し屋さ。忘れたって言うんなら、いつだって思い出させてやるぜ。いつだって、この黒いコルトでな。
…昔の話だ。あの頃は悪夢でさえ薔薇の香りがした。そんな昔の話だ』 多分、宍戸錠以外の人間が言ったら間違いなくタコ殴りになる前口上に導かれてめくるめく日活(にっかつじゃないぞ)映画の名シーンがコラージュされていきます。 要所要所を締めるエースの錠の台詞が渋い。冒頭に掲げたものを始め、 『男には2種類しかない。プロか、馬鹿か』 とか。映画の中のスターたちの台詞もまあ粋な事(あ、なんか口調が淀長さんっぽくなってしまった)。 せめてあと10年、いや5年早く生まれてりゃなあ。 ※写真はあまりのかっちょ良さに悶絶した宍戸錠主演の「拳銃(コルト)は俺のパスポート」(1967年/野村孝監督)