黙々と棺桶を作る錠(沖雅也)。
棺桶の上に投げ出される小判。
見上げるとそこに念仏の鉄(山崎努)と同心・中村主水(藤田まこと)。
「俺たちはこれからも今度みたいな仕置きをしていくことに決めた」
「こいつは先の長い汚い仕事だ。俺たちは悪党の上を行く悪党にならなきゃならねえ。俺たちゃワルよ、ワルで無頼よ、なあ鉄」
「お前みたいに世のため人のためなんて言ってたらすぐへばっちまう。俺たちと一緒にやるんならその金とれ。やらねえんならどっかいっちまえ」
一瞬の沈黙の後、金を鷲掴みにして懐に入れる錠のストップモーション。
昭和48年、すげードラマが始まった。
「必殺仕置人/第1話・いのちを売ってさらし首」(貞永方久監督)
前作「必殺仕掛人」の、世のため人のためにならない奴しか殺さない、という基本姿勢を真っ向否定。知らない人は水戸黄門みたいな勧善懲悪ドラマだと思っているかもしれませんが、とんでもない誤解です。
スタイリッシュ&アナーキー。特にこの第1話は、キャラの描き分け、語り口の見事さ、どれをとっても完璧な仕上がり。若き日の深作欣二が撮った必殺仕掛人第1話「仕掛けて仕損じなし」と並ぶシリーズ屈指の傑作です。
「のさばる悪をなんとする。天の裁きは待ってはおれぬ。この世の正義もあてにはならぬ。闇に裁いて仕置きする。南無阿弥陀仏!」(オープニング・ナレーション)
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