デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

奇想天外空想科学映画 妖星ゴラス

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「まだ地球を元の位置に戻す仕事が残っているぞ」

「ああ、でも北極は大地じゃないから大変だ」

人間どんな時でも前向きに生きたいですよねえ。

妖星ゴラス(1962年/本多猪四郎監督)

ちっこいくせに質量は地球の6,200倍という生意気な黒色矮星ゴラスが地球に接近。たとえ衝突しなくても、ゴラスの引力によって人類絶滅は必至。そこで出された結論は・・・。

地球の方でゴラスを避ける・・・。

なななんと、南極に巨大ロケット基地を建設し、その推力で地軸に沿って地球を移動させると言うのです。なんという荒唐無稽。なんという馬鹿馬鹿しさ。

しかし、この映画の真に凄い所は、観ていて全く馬鹿馬鹿しいと感じない点。

妖星ゴラスの発見から探査船隼号の遭難、地球上での政治的取引、第2探査船鳳号の発進、そして国連の元に世界各国の科学者が集っての大同団結、南極でのロケット基地建設、さらに勢い余っての怪獣登場からクライマックスのゴラス接近による地球上での天変地異までが1コマの無駄もなく描かれる様は正に快感。しかも全編通して88分という重密度。

ツッコミ所は数知れず、しかし、この奇想天外さこそSFの醍醐味ではございませんか。

水没した東京を見て「なあに、また新しい東京を作ればいいさ」というポジティブさ。

つまらん反省や自虐や自己憐憫のない自信に満ちた素晴らしい映画です。

アルマゲドンの36年前にアルマゲドンより100万倍面白い映画を日本が作っていたことを誇りに思いましょう。