デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

少子化・・ねえ。 攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society

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小難しい事をこねくり回しておりますが、これほどSFマインドを感じさせないドラマも珍しいのでは。

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(長いよ!)」(2006年/神山健治監督)

もし草薙素子が「人形遣い」に出会わず公安9課に留まったら、という想定のパラレル・ワールドTVシリーズ「S.A.C.」の番外編。2nd GIGから2年後の2034年。

SFという舞台で現在(ドラマの時間軸から見れば過去)の社会問題を取り上げたら、その段階で「負け」ですよ。

少子化、幼児虐待、メイド、老人問題、独裁国家の脅威・・。

必殺シリーズのような時代劇なら「風刺」となりますが、SFでは単なる「イマジネーションの枯渇」でしかありません。

“時代は変わっても人間(国家、社会)の抱える問題は変わらない”という言い訳も出来ますが詭弁でしょう。そもそもSFである必要がありません(「パトレイバー」は現代劇の中にSF的設定を突っ込んでいるので土俵が違います)。

映画版の「自己存在の脆弱さに対する葛藤」と「素子とバトーのプラトニックな繋がり」に魅力を感じている人間としては、この青臭いにも程がある展開はどうにもこうにも。

唯一、素子とバトーの会話(「バックアップを頼む」「任せとけ。いつだってそうしてきたじゃねえか」)が“いい感じ”でしたが・・。

あ、あとトレーラーから「よいしょ、よいしょ」と出てくるタチコマが可愛かったです。実に。それだけ・・かな。