デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

フランス人登場。 地獄の黙示録[特別完全版]

イメージ 1

ディスカバリー号を軍用ボートに乗り換えた地獄巡りのオデッセイ。

地獄の黙示録[特別完全版]」
(2001年/フランシス・フォード・コッポラ監督)


図らずも2001年の公開だったんですね。

誤訳の女王を世に放った罪な奴ですが、作品そのものに罪はありません。

毛穴の開くオープニング、ワルキューレ、スージーQ、哲学的なエンディング、何よりキルゴア中佐というキャラを創造した事で歴史の教科書の巻頭グラビアを飾っていい傑作です。

唯一問題があるとすれば、“ウィラード(マーティン・シーン)がどう贔屓目に見ても暗殺者に見えない”事と“カーツ大佐(マーロン・ブランド)がデブり過ぎて全身を映せない”という事でしょうか(致命的なミスのような気もいたしますが・・)。

当初の予定通りハーヴェイ・カイテルで撮っていたら相当印象が変わったと思います。

[特別完全版]のウリは「フランス人農園エピソード」の追加。

戦争なんか知ったことか、とに昔ながらの生活を続けるフランス人入植者の農園。

ここだけやたらソフト・フォーカスで、夢の中のような幻想感に満ちています。しかも長い! 全体の流れを完全にぶった切っているのですが、このシーンのおかげで、

「そう言や、ベトナムって元々フランスの植民地だよな。なんでアメリカがしゃしゃり出て来ているんだ?」

という実に素朴な疑問が湧いてまいりました。コッポラの意図がそこにあるのだとしたら、重要なシーンではありますが、もうちっと短くても良かったのではあるまいか。

ラストは70mm版同様「a horror」というカーツのささやきで終わりますが、個人的には35mm版の王国爆破シーンで〆てもらいたかったと思います。


★ついでにこちらも