デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ピンボケで嘲笑う女。 女優霊

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撮影フィルムを現像したら、見知らぬ女優の見知らぬ演技。

その後方にピンボケの女。表情は分からないが明らかに邪悪な高笑い(怖ぇ)。

Jホラーはここから始まりました。

「女優霊」(1995年/中田秀夫監督)

中田監督(リング)のデビュー作と言うよりは、脚本家・高橋洋のホラー開眼作というべきでしょうか。

“怖いって何?”の試行錯誤。後に小中千昭高橋洋との意見交換から生み出す「小中理論」の出発点がまさにこの作品です。

はっきり見せない怖さとくっきり映してしまう怖さ。

前者は中田監督の「仄暗い水の中から」の“電柱に張ってある尋ね人の少女の顔がかすれて分からなくなっている”というカットで上手く使われています。

後者は、本作では成功しているとは言い難いですが、「呪怨」(高橋洋脚本)の伽椰子登場シーンできっちりリベンジしています(本作の自縛霊は伽椰子のプロトタイプのように見えます)。

主役は柳ユーレイ。この人、本作と「呪怨」「蛇の目」でホラーのアイコンになっちゃいましたね。

低予算ですが、誠実で実験的な野心作だと思います。