アニメで本格的なホラーと心理描写。世評は批判を許さない高評価。
実写でやったら恐ろしくチープになりそうな題材をアニメならではの描写で表現・・した事が高評価に繋がっているようですが、本当にそうでしょうか。
「PERFECT BLUE パーフェクト ブルー」(1998年/今敏監督)
C級アイドルから女優に転進したものの、理想と現実のギャップに苦悩する主人公・未麻(岩男潤子)。
彼女をつけ回すストーカーの影。克明な日常の記録を日記にしたてた“なりすまし”HP。そして身辺で起きる連続殺人事件。やがて恐怖の矛先は未麻自身へ。
冒頭から描かれるC級アイドリアンの生態に激しい嫌悪(近親憎悪?)。
直球のストーカーものと見せかけてクライマックスで大リーグボール並みに捻る構成はなかなかですが、未麻のドッペルゲンガーと○○の多重人格、更に××の幻影を画的に同一のものとして見せる演出はトリッキーを素通りして破綻しています。
アニメならではの表現というよりは、アニメにしないと誤魔化せないからアニメにした、という気がしてなりません。
ついでに言えば、実写だと話が殺伐としすぎて気が滅入るので、現実と適度な距離をとれるアニメキャラが必要だった、という事情もあったのではないかと。
黒沢清あたりなら良い感じに実写化してくれたかもしれませんが…。