日本発の海外征服レーベル“SUSHI TYPHOON”第1期4作品のレビューオオトリです。取りあえずこの4本の中では一番のお気に入り…かな。
「極道兵器」(2010年/坂口拓・山口雄大監督)
他の3本(ヘルドライバー/AVN/DEADBALL)と本作の最大の違いは、本作のみ原作があるという事。
そしてそれを描いたのが、賢ゲッター石川である事。
ついでに言うと本作のみ特殊造型に西村喜廣氏が絡んでおりません(←プラス評価)。
片手にガトリング砲というビジュアルには「片腕マシンガール」(2007年)、改造ヤクザというコンセプトには「FULLMETAL極道」(1997年12月)という先達がおりますが、ちょっと待った。
石川賢氏が、読み切り短編「極道兵器」を発表したのはコミックジャックポット96年6月号。同年8月号から翌10・11月合併号までが本連載。石川賢こそがオリジンです。
岩鬼将造(坂口拓)は、武闘派ヤクザ・岩鬼組の御曹司でしたが、あまりの凶暴性故に国外追放になり、南米で傭兵暮らし。
『弾みてぇなもなぁ、怖いと思うけん当たるんじゃ。わしが睨みつけりゃ地雷じゃろうがなんじゃろうが逃げ出すんじゃ!』
付いたあだ名が“マッド・ドッグ”。
4年ぶりに日本に帰ったら、親父殺され組はバラバラ。絵図描いたのが若頭・倉脇(鶴見辰吾)と知った将造は問答無用のお礼参りを敢行するも、片腕・片足を失うハメに。
しかし、日本政府によって改造手術を施された将造は、右腕にバルカン砲、左膝にロケットランチャーを仕込んだ極道兵器として復活!
漫画的あり得なさが、CGのアシストを得てチープかつ大胆、しかも違和感無く展開。
将造にクルーザーを投げつける婚約者(黒川芽衣)、顔面直撃にもかかわらず「痛!」で済ませる将造、追尾装置があるかのように廊下をカーブするダイナマイト、etc。
将造のファッションはどう見ても大友勝利(@仁義なき戦い/広島死闘篇)。多分、名前は広能昌三からでしょう。
お話は、パイロット版読み切り(単行本収録時は「真・極道兵器」)の主人公・皆殺しの竜のキャラを、将造の少年刑務所時代の親友・岡村鉄男(村上淳)に被せるという大胆アレンジ。
結果、本編主人公とパイロット版主人公が激突する“クーガ対シャドームーン”的見せ場まで。
にしても、脅しの効かないキャラって、見ていて実に清々しいですね。
※参考:「FULLMETAL極道」→2008年4月11日
「片腕マシンガール」
→2008年4月29日/2009年2月11日・12日