核ミサイルを撃つ・撃たないで原子力潜水艦の艦長と副艦長がどつき合う映画と言えば「クリムゾンタイド」ですが、何とその10年前に10倍凝った作品がありました。
「勃発!第3次世界大戦/ミサイル・パニック」
(1985年/ラリー・ピアース監督)
米軍主力潜水艦・USSモンタナに下された極秘命令。
第3次世界大戦勃発のニセ情報を流し、乗務員の心理的圧迫と観察すると共に、報復ミサイル(核弾頭撤去済み4発)発射までをシミュレートせよ。
何故そんな実験をする必要があるのか? 証明するために。何を? アメリカは例えどんな状況に置かれても報復を忘れない国であることを。
事実を知るのは艦長ハリス、副艦マーク、そして軍医ブライスの3名のみ。
ただでさえ気の触れた演習でしたが、狭い艦内で使った速乾性の塗料から毒性ガスが発生したからさあ大変。乗務員は正常な判断力を失い、攻撃的になり、艦長・軍医も演習忘れて報復モード突入。
災い転じて大惨事。
唯一、副艦長だけは軍規定違反の抗鬱剤を服用していたため、毒の影響を受けずにいましたが、元々艦長とはソリが合わなかった事もあって事態収拾は困難の極み。
更に最悪のタイミングで近海を航行するソ連原艦を発見。
『魚雷発射用意!』
モンタナの異常な動きを察知した本部は演習の中止を連絡するが、艦長はこれをソ連の策謀と一蹴。そして艦内に仕込まれたテープが予定通りミサイル発射命令を…。
最初の4発は空砲みたいなものですが、5発目は…(原題は「THE FIFTH MISSILE」)。
最早、第3次世界大戦を阻止する為にはモンタナの撃沈しか…。
クリムゾンタイドの潜水艦の中が「狙われた街(ウルトラセブン)」になり、本部が「エグゼクティブ・デシジョン」になるという一粒で何度美味しいんだ、な大盤振る舞い。
テレビ映画なので、セットちゃちく、テンポのろく、ラスト呆気なく、とマイナス要素も多いのですが、最悪の方向に二転三転する展開はトム・クランシー級の面白さ。
監督は「パニック・イン・スタジアム」撮った人。機会があれば是非。
※参考:「パニック・イン・スタジアム」→2009年5月23日