ただ一途に歌う、奏でる…。 TARI TARI
「やるとかやめるとかじゃない。音楽はいつも共にあるものだ」
「音楽を愛する事は誰にでもできます。でも音楽に愛される事は…」
歌う機会を奪われた少女と音楽を棄てた少女、騎手を夢見る少女とプロのバドミントン選手を目指す少年。そして、海の向こうにいる病床の友人を想う少年。
普段、ゾンビだ猟奇だ、鉈だナイフだチェンソーだ、な映画に埋もれてホラーテラーで皆殺し、な生活を送っているので、こういう真っ向勝負な(ラブもコメも幽霊もロボットも宇宙人も未来人も超能力者も出てこない)青春ものを観ると心が洗われます。
…どんだけ汚れてんだ、俺の心。
「TARI TARI[北米版DVD-BOX]」(2012年7月-9月放送/橋本昌和監督)
舞台は風光明媚な海辺の街…何かやたら見覚えのある風景だな…って江ノ島かよ。ご当地アニメだったのか。
音楽科と普通科、二つの棟を持つ私立白浜坂高校。
宮本来夏は普通科。歌う事が大好きで声楽部に所属していましたが、前年の発表会で失態を演じたため、顧問の教頭から歌う機会を奪われ退部。新たに合唱部を設立しようとしますが…。
坂井和奏は音楽科でしたが、ある事情から音楽を棄てて普通科に編入。
沖田紗羽は来夏の親友。普通科で弓道部。将来の夢は騎手になること。しかし、その目標には大きな障害が。
田中大智も普通科。たった一人のバドミントン部部員。目指すはプロ。
前田敦博は間違いだらけの日本文化知識をしこたま詰め込んでやってきた普通科編入の帰国子女。ウィーンから来たので以後ウィーンと呼ばれる。
この5人が(監督曰く)全員主人公。
来夏は廃部宣告を受けたバドミントン部を抱き込んで「合唱ときどきバドミントン部」を設立。
お話は来夏による合唱部設立と和奏のトラウマ克服を軸に“歌うことの意味と歓び”を描いていきます。
目標を“奪われた”“棄てた”人間の敗者復活戦でもあります。
反目していた教頭との和解が“オーナーによる廃校宣言”という外圧に対する共闘(中止とされた白祭の強行開催)という所がちいっと納得いかなかったりしますが、綺麗にまとめるにはこうするしかなかったかもしれません。
キャラクター原案はtanu。「進撃の巨人」♯13.5で“キャッキャウフフ”なエンドカードを描いていましたね。
北米版DVD-BOXは、全13話を2枚に収録して約4,000円。BDに比べれば当然画質は落ちますが、この価格で13話一気観できると思えば安い買い物です。