『(貴様は)炎髪灼眼の討ち手…』
『“シャナ”…と後に付け加えるべきね』
キメの名乗りにも余裕が出てきたシリーズ第2期。
「灼眼のシャナⅡ-SECOND-[北米版BD-BOX]」(2007年10月-2008年3月放送/渡部高志監督)
夏休みが終わって2学期。1期からほとんど時間差無しのスタート。
2期最大の問題点は前半1クールまるまる使った学園ロマンス描写。
シャナと吉田一美のお弁当合戦。割って入る“頂の座(いただきのくら)ヘカテー”と瓜二つの美少女・近衛史菜。
三角関係をすっ飛ばしてバトルロワイアルになった恋の鞘当。徐々に芽生えるシャナと一美の戦友的友情。
そして何故か坂道を転げ落ちるように三枚目担当になってしまった秀才・池速人(吉田一美に無言でフラれるという最悪のオチ付き)。
ラブコメは大好物なので、基本ウェルカムなのですが、前半まるまるという話になるとちょっと(しかもあまり出来が良くない…)。
お話が転がりだすのは、自身の中に眠る零時迷子の正体を知った悠二が、人間・坂井悠二としての暮らしを捨ててシャナのいる戦いの世界に身を投じる決心をする18話辺りから。
しかし、自在法の指導に当たったマージョリーは悠二の決意に疑問を。
『覚悟とは頭じゃなくて腹で決めるものよ』
2期はストーリーそのものよりも、各人が己の居場所を求めて喘ぐ過程を描く(事件はその指標にすぎない)ものだったように思います(断じて話についていけない訳ではない!断じて…)。
普通の人間故に戦いの輪の中に入れない事に苦悩する吉田一美。
学園祭の惨劇で命を落としかけた緒方真竹を見て戦いの一線から身を引く決意をする田中。
一人になってもマージョリーに着いて行く覚悟を決めた佐藤。
そして消去法による選択ではなく、「この街を守りたい!」という積極的意思を自覚する悠二。
各々の想いが結実していく終盤は見応えがあります…が、全体のバランスが悪すぎ。
どう考えてもじっくり描くべきは後半。(それなりに伏線になっているとは言え)序盤のラブコメもどきに時間を掛け過ぎたため、後半が駆け足になってしまいました。
惜しいなあ(バトルシーンの出来が良かっただけに余計)。
北米版BD-BOXは、全24話をDVD4枚、BD4枚に収納した8枚組で2,500円程度。