『最初から分かっている。彼女が強いことも、自分が人より劣っていることも!
劣っているならかき集めろ! 至らないなら振り絞れ!』
「落第騎士の英雄譚/第12話・無冠の剣王Ⅱ」
ステラとの交際スクープ(半分は捏造)を口実に魔道士連盟に拘束され、連日の尋問と彼らの監視下に於けるトーナメント戦消化で満身創痍の一輝。
更に試合はスタジアムで全国TV中継という公開処刑。会場までは魔道士連盟が来車で搬送してくれるはずが“手違い”で徒歩に。
開始時間に15分遅刻すれば、自動的に棄権となって不戦敗。
自尊心の全てを奪われた一輝の心に灯る灼熱の炎。それはステラの温もり。
一輝の置かれた状況を理解しつつ、全力で迎え撃つ決意を固める刀華。
『あなたが満身創痍なのは知っています。それでも私はこの戦いが楽しみでしょうがない。だって私は初めてあなたを見てからずっと想っていたのですから…この人とやりたいと!』
『それは僕も同じですよ。この場に立った以上、あなたにも背中を押してくれた皆にも恥となるような剣を振るうつもりはありません。だからここに誓います。僕の最強を以って、あなたの最強を打ち破る!』
抜刀という様式美、ここに極まれり。
『これが仕組まれた決闘だろうと、もうどうでもいい!』
『私は学園NO.1の座を守りたいんじゃない』
『僕は(私は)己の全てを賭けて、この誇り高い騎士に勝ちたいだけ!』
大人の姑息な陰謀を歯牙にもかけない戦う者の矜持に痺れます。
試合開始と同時に一刀修羅を発動させ、ただ一撃に勝負を賭ける一輝。
『第七秘剣、雷光!!』 『雷切!!』
『一度かわせばそれで私の勝ち。そんなの冗談じゃない! クロスレンジは私の領域。そこを逃げ出してどこで戦うと言うの!』
雪崩式ケレンの波状攻撃。カッコつける時は徹底的に。
勝負の後にプロポーズというのも近年稀に見る古典的王道。
『僕の家族になってほしい』
『はい。私を一輝のお嫁さんにしてください』
〆は七星剣武祭出陣式。団長は黒鉄一輝。校旗が生徒会長・刀華から一輝の手へ。
『勝つというのは背負うという事です。負けた者たちの願いを受け継いでいくという事です。連れて行ってください。この旗と一緒に。私たちを七星の頂きへ』
こんなに綺麗にまとまるとは思っていませんでした。詰め込み放題詰め込んでいるのに端折った感がまるで無いのも凄い。
是非とも2期に繋げて欲しいものです。