
『頑張るしかないでしょ。他に選択肢はないんだから』
『そうじゃないよ。選択肢はずっとあったよ。
でも選んだんだよ、ここを。選んだんだよ、自分で!』
仕方がないんじゃない。選択の結果なんだ。素晴らしい覚悟と自覚。
「宇宙よりも遠い場所/STAGE08・吠えて、狂って、絶叫して」(2018年2月20日/髙田昌豊演出)
フリーマントル発、南極行き。遂に出港。意気軒昂な4人を待っていたのは船酔いの洗礼。

全滅!
食べて吐き、寝て吐き、起きて吐き…ある意味マニアックな光景です。
しかし、それも序盤、前座、枕、前説。本当の恐怖は…

『吠える40度、狂える50度、叫ぶ60度…』
地球上の海流の多くは大陸によって阻まれ、その勢いを弱めて行きますが、南極の周りは地球一周遮るもの無し。自転の勢いに任せて流れたい放題。
その海流に直角に突っ込んで力押しで渡りきるのが南極観測船。
そりゃ揺れます(この説明は実に分かりやすい)。

『来ましたね』
『私は嫌いじゃないですけど。戦ってる感じがして』
こんな状態で南極に行けるのか、行けたとして(自分たちが)何の役に立つのか、他のメンバーとは体力以前に生き物としての生命力が違うと嘆く結月に「なら私達も強くなればいい」と言う報瀬。
『なれるんですか?あんな風に』
『頑張るしかないでしょ。他に選択肢はないんだから』
で、冒頭のキマリの「選んだんだよ、自分で」へ。
腹が据わると気分が変わり、世界の理も変わっていく。

『帰ったら話せるな、観測船って凄いぞって』
『うん、言う。凄い楽しいって』
『嘘じゃないですか?』
『嘘じゃないよ。この旅が終わった時には絶対にそう思ってるもん』
キマリのこのまっすぐさはいいなあ。そして波を越えた先にある景色は…。
<雲もなく鳥の姿もなく視界全てが一面の青、どんなに目を凝らしても見渡す限りの水平線。確かに船の音は聞こえているはずなのに、その圧倒的な景色が音を消していた。そこにあるのは宇宙を思わせる無音の世界>
その更に先に待っているのは…。

『帰って来たわね』
『ここから玄関開けるまでがまた長いけどね』
8度目の最終回終了(笑)。