カナダとは一味違うアイルランドの寒々しさとJホラー・リスペクトが“いい感じ”に融合した地味ホラー。
「運河の底」
(2014年/アイヴァン・カブァナー監督)
Amazon Primeには「運河の底」というタイトルがついていたのですが、どうも一般的にはNetflix配信時の「ザ・カナル 悪魔の棲む場所」で通っている作品のようです(原題は「THE CANAL」)。
冒頭、コマ落としで流れる不穏な(グロな)映像。本作の撮影風景も混じっているので一種のメタ構造狙いなのかもしれません。
デヴィッドは国立映像記録局の保管係(未来も野心も彼岸の彼方な地味仕事だ)。
美人の奥さん(絶賛妊娠中)と新居内見。気に入ったわ、よしここに決めよう、で5年後。
息子ビリーと3人で地味ながらも平和な家庭。
ある日、警察から記録映像が届いたので内容チェック。
タイトルは「Crime Scene 1902」。とある一家の惨劇(お父ちゃんが女房・子供を皆殺し)の現状見分と犯人逮捕の記録。
あれ、この家、俺ん家じゃね…?
以来、デヴィッドは静かに精神を病んでいきます。浮気した女房が運河で水死体となって発見され、近くに犯罪記録映像に映っていた一家惨殺父ちゃんと思しき人影が…。
という「リング」をベースに「悪魔の棲む家」「フッテージ」「回転」で味付けをした(ちょっと「仄暗い水の底から」「ポゼッション」も入っている)Jホラー/クラシックホラーリスペクト満開な仕上がり(特に「リング」は丸パクリスペクトの域)。
ただねー、地味なのよ、凄く。その責任の大半は主役・デヴィッド(ルパード・エヴァンス)のアンニュイな(覇気がないとも言う)演技。
狙ってやっているのは分かりますが(だからこそ女房もワイルドな同僚に惹かれていったわけで)、もちっとシャッキとしてくれないと画面が締まりません。
この地味さを一気に逆転しようとしたのか、終盤無駄にグロ多発(笑)。
特に三池が乗り移ったかのような“あの”シーンは「いやそれヤバイって!」。
ネタはすぐに読めちゃいますが(でもまさかそんな単純な…ってやっぱりそうなのかよ!?)、最終的なオチはそこそこいい感じでした。
おまけ
イメージが違いすぎるにも程があるポスター3種
★ご参考
★アイルランド絡みで取り上げた作品と言うと…
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