それを観た者は正気を失い殺しあう…。
かつてシッチェス国際映画祭で1度だけ上映。観客が暴力沙汰を起こして上映中止。フィルムは政府が没収して廃棄。
監督は行方不明。スタッフは全員死亡。唯一生存しているカメラマンは失明。
都市伝説となった幻の映画。そのタイトルは、
「世界の終り」(2005年/ジョン・カーペンター監督)
小さな映画館(上映しているのは「サスペリアPart2」!)を経営するカービー・スウィートマン(ノーマン・リーダス←処刑人片割れ)が富豪ベリンジャー(ウド・キア!)に20万ドルで依頼された奇妙な仕事。
“「世界の終り(LA FIN ABSOLUE DU MONDE)」のフィルムを探し出せ”
関係者の証言を辿るうち、カービーの脳裏にリング状の焼け焦げと共に忌まわしい幻覚が。
原題は「CIGARETTE BURNS」。煙草の焼け跡。フィルムに刻まれた映写機の交換を知らせるサインです(「ファイト・クラブ」でもネタにされていましたね)。
観てはいけないものを探し出す・・「ビデオドローム」+「ナインスゲート」なアイデアは決して新しいものではありません。むしろ手垢つきまくりの使い古しネタです。
それでも語り口が巧ければここまで面白くなる…流石カーペンター。
テレビシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」の1編。1時間足らずのTVサイズに収めるには勿体無い出来。是非、90分×シネマスコープの劇場サイズで観てみたいものです(それが「マウス・オブ・マッドネス」だった訳ですが)。
ソナチネを思わせるピアノ音楽は愛息コディ・カーペンター。
本作のレンタルDVDにはスチュアート・ゴードン監督の「魔女の棲む館」も収録。
築300年のアパートに越してきた大学生の受難。原作がラブクラフトなので、当然学生はミスカトニック大学の生徒(大学のロゴ入りTシャツ着用)、勿論、大学の付属図書館には「ネクロノミコン」(8世紀の原書「キタブ・オブ・アジフ」のはず)が。
実にお得な2本立てでした。