デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

TV画面ではなくシネスコで観たい。 世界の終り

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それを観た者は正気を失い殺しあう…。

かつてシッチェス国際映画祭で1度だけ上映。観客が暴力沙汰を起こして上映中止。フィルムは政府が没収して廃棄。

監督は行方不明。スタッフは全員死亡。唯一生存しているカメラマンは失明。

都市伝説となった幻の映画。そのタイトルは、

「世界の終り」(2005年/ジョン・カーペンター監督)

小さな映画館(上映しているのは「サスペリアPart2」!)を経営するカービー・スウィートマン(ノーマン・リーダス←処刑人片割れ)が富豪ベリンジャー(ウド・キア!)に20万ドルで依頼された奇妙な仕事。

“「世界の終り(LA FIN ABSOLUE DU MONDE)」のフィルムを探し出せ”

関係者の証言を辿るうち、カービーの脳裏にリング状の焼け焦げと共に忌まわしい幻覚が。

原題は「CIGARETTE BURNS」。煙草の焼け跡。フィルムに刻まれた映写機の交換を知らせるサインです(「ファイト・クラブ」でもネタにされていましたね)。

観てはいけないものを探し出す・・「ビデオドローム」+「ナインスゲート」なアイデアは決して新しいものではありません。むしろ手垢つきまくりの使い古しネタです。

それでも語り口が巧ければここまで面白くなる…流石カーペンター。

テレビシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」の1編。1時間足らずのTVサイズに収めるには勿体無い出来。是非、90分×シネマスコープの劇場サイズで観てみたいものです(それが「マウス・オブ・マッドネス」だった訳ですが)。

ソナチネを思わせるピアノ音楽は愛息コディ・カーペンター。

本作のレンタルDVDにはスチュアート・ゴードン監督の「魔女の棲む館」も収録。

築300年のアパートに越してきた大学生の受難。原作がラブクラフトなので、当然学生はミスカトニック大学の生徒(大学のロゴ入りTシャツ着用)、勿論、大学の付属図書館には「ネクロノミコン」(8世紀の原書「キタブ・オブ・アジフ」のはず)が。

実にお得な2本立てでした。