デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

#特撮

祝!秘宝1位&そこまで好きか特撮。 パシフィック・リム

『世界の終りが迫っている。どこで死にたい? ここか!? イエーガーの中か!?』 “カイジュウ”という単語を全世界に広めた小太りなおっさんの心には兜甲児が宿っていました。 (「戦って戦って、それでも駄目なら、マジンガーZと一緒に死ぬだけです!」) …

良かった、モノクロで。 極地からの怪物 大カマキリの脅威

蜘蛛、蟻の巨大化はよくある話ですが、カマキリは珍しい。「極地からの怪物 大カマキリの脅威」(1957年/ネイザン・ジュラン監督)北極の氷の中で眠っていた有史以前の大カマキリが覚醒。米軍の観測基地で人間つまみ喰いしつつ南下。現場に残った巨大なトゲ…

建物全部持ってこい! 中野昭慶「妖星ゴラス」を語る。

『ようし、東宝にある建物全部持ってこい!』 国会議事堂、東京タワー、銀座の街並みを次々と冬の利根川に投げ込めば、水没都市・東京の出来上がり。『尺は合ってないし、木製だから浮くし、寒いし』ご苦労、お察し申し上げます。「中野昭慶、妖星ゴラスを語…

奇譚…。 総天然色ウルトラQ/クモ男爵

子供の頃は、猿やモグラが巨大化するだけの非怪獣モノにはイマイチ食指が動きませんでした。 どこか華が無く、地味。デザイン的にも手を抜いているような…。 でも実際には脚本やミニチュアなど様々な試みがされていた訳で、再見して眼から鱗な話が多々。 中…

原子力vs原子力。 ジャイアントロボ/ギロチン最後の日

「ワシを撃ってみろ。ワシの身体は原子力エネルギーの塊だ。ワシの身体が爆発したら地球は木っ端微塵になってしまうぞ!」後に「アイアン・ジャイアント」がパクリまくった感動の最終回。「ジャイアントロボ/最終回・ギロチン最後の日」(1968年4月1日/山…

銀色だったのか!? 総天然色ウルトラQ/バルンガ

『明日の朝、晴れていたらまず空を見上げてください。そこに輝いているのは太陽ではなく、バルンガなのかもしれません』カラー化一番の恩恵、それは「あれは一体何色だったんだろう?」という疑問の回答。 ガラモンの赤は(後のピグモンもあるので)想像がつ…

地味と気合と●●と。 総天然色ウルトラQ/五郎とゴロー

豪儀にもWOWOWがカラー版ウルトラQを全話放送。気になるエピを幾つかピックアップしてみます。「総天然色ウルトラQ/第2話・五郎とゴロー」(オリジナルは1966年1月9日放送/円谷一監督)モノクロ特撮をカラー化した時の一番の懸念は、実景とミニチ…

心の耳を持つ巨人。ジャイアントロボ/宇宙妖怪博士ゲルマ

『ロボ、やめろ! やめてくれ! 僕の声を忘れたのか?! ロボ!』同じ横山光輝原作ですが、「鉄人28号」は操縦者次第で善にも悪にもなるリモコン式。“♪敵に渡すな大事なリモコン”であり“♪善いも悪いもリモコン次第”な訳です。対して「ジャイアントロボ」は指…

その大国はメルカ。ジャイアントロボ/殺人兵器カラミティ

前~中盤にかけてはどちらかと言うと“ギロチン帝王と愉快な仲間たちによる底抜け地球侵略ゲーム”でしたが、終盤突如ギアトップ。 クライマックスに向けた怒涛の重厚エピが展開します。その鏑矢が、 「ジャイアントロボ/第22話・殺人兵器カラミティ」 (1968…

地味で自由な裏怪奇。 緊急指令10-4・10-10

『テン・フォー。了解』 『テン・テン。よろしく』 数ある円谷作品の中で(「恐怖劇場アンバランス」と並んで)最も地味な、しかし最も自由なシリーズ、それが、 「緊急指令10-4・10-10」 (1972年7月20日~12月25日放送) 大学教授の毛利春彦(黒沢年男)が…

“いきなり顔の法則”再び。 ジャイアントロボ/第1話

「主人公と主役ロボットの初対面は“いきなりそこに巨大な顔がある”でなければならない」(庵野秀明) 「トップをねらえ!」レビュー時にご紹介した“いきなり顔の法則”です。 あの時は、“見上げる系”に「ジャイアントロボ」をカテゴライズしてしまいましたが…

終了…。 ネオ・ウルトラQ/ホミニス・ディグニターティ

鳴り物(弔鐘?)入りで始まった“約半世紀ぶりの続編”「ネオ・ウルトラQ」が終了しました。 途中、完全に興味を失ってリタイア状態。最終回くらいと思って再チャレンジ…したのですが、結果は玉砕。 結局、何だったんだ、このシリーズ? 「ネオ・ウルトラQ…

追悼:坂口良子。 ウルトラマンタロウ/怪獣サインはV

坂口良子さんがお亡くなりになりました。3月27日。消化器系疾患。57歳。坂口さんと言えば「犬神家の一族」の女中さん、「獄門島」の理髪店の娘が真っ先に思い浮かぶのですが、「獄門島」ネタは大原麗子さんご逝去の時に使ってしまったので、今回は別アングル…

まるで洗脳教材。 ネオ・ウルトラQ/言葉のない街

すみません、前言撤回。1日経ったら色々な事がふつふつと(笑)。備忘録も兼ねて感じたことだけ記しておきます。 「ネオ・ウルトラQ/第5話・言葉のない街」 (2013年2月9日放送/中井庸友監督) 50年前(本シリーズの時間軸が良く分からないので、それが…

その幻視は嫌いじゃない。 ネオ・ウルトラQ/パンドラの穴

相変わらずの“投げっ放し”&“意味があるように錯覚させる引用”が目立つ脚本でしたが、個人的に好感の持てる一編ではありました。「ネオ・ウルトラQ/第4話・パンドラの穴」(2013年2月2日放送/石井岳龍監督)OPナレでニーチェの箴言(怪物と闘う者は、…

風刺は隠せ。 ネオ・ウルトラQ/宇宙から来たビジネスマン

3回目にして初の宇宙人登場。 テーマは美の価値観に関する異文化ギャップ。 美しさとは何か? を風刺を利かせて描いているのですが、あまりにステレオタイプ。そして剥き出し。 分かりやすいのは良い事ですが、ただ材料を剝き出しで並べるのは作劇としては…

あがく佐々木、光る飯島。 ウルトラセブン/勇気ある戦い

佐々木守が「ウルトラセブン」で書いた脚本は僅かに2本。1本は問題作「遊星より愛をこめて」。そしてもう1本が、 「ウルトラセブン/第38話・勇気ある戦い」 (1968年6月23日放送/飯島敏宏監督) 自分の星の資源を使い尽くしてしまったパンダ星人が、ロ…

世界観が違い過ぎないか? ネオ・ウルトラQ/洗濯の日

確か先週は、怪獣であるというだけで、「殺せ!」「守れ!」と世論が二極化する世界だったと思うのですが。今回は、下町でクリーニング屋を営み、住民から慕われる怪獣のお話。同じ脚本家が書いたにしちゃあ、世界観が違い過ぎないか?「ネオ・ウルトラQ/…

熱さが無い…。ネオ・ウルトラQ/第1話・クォ・ヴァディス

体温低いなあ…が第一印象。 「ネオ・ウルトラQ/第1話・クォ・ヴァディス」(2013年1月12日放送/石井岳龍監督) 「ウルトラQ」続編企画の第1話が放送されました。 まず驚いたのは映像クォリティの高さ。 WOWOWのHPによれば、HDの4倍の情報量…

板野サーカス版ウルトラ作戦第一号・改。 ULTRAMAN

『どんなに酷い喧嘩をした朝も、空を飛ぶ日だけは必ず笑顔で送り出してきた。ずっとそれだけは守ってきたから。…いってらっしゃい。気をつけて』 よもやウルトラマンで“夫婦の絆”に感動しようとは…。 「ULTRAMAN」(2004年/小中千昭監督) ベースは…

臆したか映画秘宝!? ウルトラセブン研究読本

スルーかよ!? かつて“ぴあテン&もあテン”連続入賞がきっかけとなって「2001年宇宙の旅」のリバイバル公開が実現したように、読者投票ベストテンが“あの”エピソード解禁に繋がれば、と思って紹介(2012年8月25日)したのですが、見事に裏切られました。 よ…

ただひとつの命のために。 ウルトラセブン/史上最大の侵略

『明けの明星が輝く頃、ひとつの光が宇宙に飛んでいく。それが僕なんだよ。…さよならアンヌ!』 『待ってダン! 行かないで!』 『アマギ隊員がピンチなんだよ!』 シューマンのピアノ協奏曲イ短調と共に子供心に刷り込まれた特撮ドラマの最高峰。 同時にウ…

ヌメっと爽やか。 大怪獣出現[世界最強怪獣メギラ登場]

“怪獣”という概念は日本独自のもので、アメリカには恐竜か巨大化生物(大蜘蛛、大蟻)という発想しか無いようなイメージがありましたが、間違った思い込みだったようです。むしろ逆に日本の怪獣映画(ドラマ)に影響を与えているものも多々あるようで。本作…

ロサンゼルス戒厳令! 放射能X[THEM]

『これが1945年の原爆実験の影響だとしたら、その後に行った核実験の影響は?』山根博士の名台詞、「あのゴジラが最後の一匹とは思えない」にぴたりと符合。共に製作は1954年。日本公開も同年。ただし、本作の方が3ヶ月早いオリジナルです。 「放射能X」(1…

ありがとう。 ウルトラマン最終回「さらばウルトラマン」

『キャップ、あれですよ、あの紅い球ですよ。僕は竜ヶ森で衝突して…衝突して今までどうしていたんだろう』 シリーズ最大の問題発言だと思うのですが…。 「ウルトラマン/最終回・さらばウルトラマン[英題:FAREWELL, ULTRAMAN!]」(1967年4月9日放送/円谷…

非道ムラマツ(笑)。 ウルトラマン/禁じられた言葉

『この私にたった一言、地球をあなたにあげます、と言ってくれないか』 歴代宇宙人の中でも屈指の知性を誇るジェントルマン、メフィラス星人の登場です。 「ウルトラマン/第33話・禁じられた言葉[英題:THE FORBIDDEN WORDS]」(1967年2月26日放送/鈴木…

女子に君づけ萌え。 アイアンキング/宇虫人タイタニアン編

北米版THE COMPLETE SERIESのレビューもいよいよ最後。 トリを飾るのはシリーズ初の異星人、タイタニアン。 「アイアンキング/宇虫人タイタニアン編」 (第18話-26話/全話佐々木守脚本) どう見ても「Vフォー・ヴェンデッタ」(写真2枚目)の出来損ない…

貧乏クジ? 帰ってきたウルトラマン/ウルトラ5つの誓い

『次郎、大きくなったらMATに入れ。MATの隊員は皆勇気ある立派な人たちだ。君も嫌なもの、許せないものと闘える勇気ある男になるといい』ウルトラマンに変身し、格好良く去っていく郷秀樹。正に大団円…って、ちょっと待て。実の兄(岸田森)、姉(榊原…

実はSF。 ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣

『小畑さん、あなた悔しくないの?! どんなに卑怯で、どんなに手前勝手でもあなたは人間よ!』こういう叱咤激励は嫌だなぁ(笑) 「ゲゾラ ガニメ カメーバ 決戦 南海の大怪獣」 (1970年/本多猪四郎監督) タイトルだけ見ると、多々良島みたいな所で巨大…

佐々木守の正義とは?② ウルトラマン/怪獣墓場

ウルトラマンとウルトラセブンの最大の違い、それは肌の色…じゃなくて、人格の合一性だと思います。ウルトラセブン=モロボシ・ダンですが、ウルトラマン=ハヤタではありません。ヒーローと同一人格を持つが故にモロボシ・ダンは苦悩します。宇宙都市ペガッ…