デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

#SF・ファンタジー

追悼:リチャード・マシスン。 ある日どこかで

作家リチャード・マシスンがお亡くなりになりました。6月23日(現地時間)。カリフォルニアの自宅で。87歳。自然死。「トワイライト・ゾーン」をはじめ原作・脚本数知れず。「激突!」「縮みゆく人間」「地球最後の男」「ヘルハウス」「運命のボタン」「リア…

賛歌(アンセム)。 リアル・スティール

人間同士の格闘が禁止され、ロボットがこれを代替する近未来。 ボクサーとしての居場所を失い、父親という現実から逃げ、ドサ周りのロボット・ボクシングで糊口を凌ぐも結局は借金まみれでトンヅラ暮らし。 絵に描いたような駄目男にやってきたプライド復権…

星条旗よ永遠なれ! アイアン・スカイ

『私は今、戦時下の大統領。一期目で戦争を始めた大統領は必ず再選されるのよ! どこで(戦争を)始めようかと思ったけど…で、こいつら誰?』 『ナチです。…月から来た』 『本物? 凄い! 正に願ったり叶ったりね。アメリカがこれまでまともに倒せたのってナ…

狂気山脈を阻むもの。 プロメテウス

なるほど…。 デル・トロ監督が「プロメテウスが狂気山脈の製作を阻むだろう(PROMETHEUS Has Probably Nixed AT THE MOUNTAINS OF MADNESS)」(NixedではなくKilledと表記しているサイトもある)と言ったのはこういう事だったのか。 確かにネタ丸被りです。…

滅びは鬱の特効薬。 メランコリア

冒頭、延々8分に渡って描写されるハイスピード映像。 それは鬱病患者の心象風景であり、終末への恐怖であり、滅びの瞬間そのものであったりする訳ですが、この映像を退屈だと思ったら、即リタイアしてしまう事をお薦めします。 「タルコフスキーかよ!」と…

全裸爺軍団の恐怖。 レア・エクスポーツ/囚われのサンタ

雪を蹴立ててピッケル担いだフルチン全裸の爺軍団が襲ってきたら…。 想像しただけでチビチビです(笑)。 ここは雪国フィンランド。本場のサンタは一味違う(年、明けちゃいましたが、もう1発サンタ・ネタを)。 「レア・エクスポーツ/囚われのサンタ」 (…

コミカライズは難しい。 クトゥルフの呼び声|百億の昼と千億の夜

PHP研究所のラヴクラフト・コミカライズ・シリーズの第1弾。題材に「クトゥルフの呼び声」を選んだのは正解ですが、新人のデビュー作にあてがうには無謀すぎる選択だったのでは?「邪神伝説 クトゥルフの呼び声」(2009年12月11日初版発行/PHP研究所…

本望だろ、スピルバーグ。 宇宙人ポール

「たまには冒険するのもいいだろう(Sometimes, You Just Gotta Roll The Dice)」本編中に3回、形を変えて出てくる台詞です。吹き替えだと「人生にはハプニングがつきものだ」になっていましたが、字幕の方が台詞のニュアンスを汲み取っていると思います(…

インディペンデント・リメイク希望。カウボーイ&エイリアン

素材だけは超豪華。舞台は西部開拓時代。お尋ね者の凶悪犯、町を牛耳る権力者、市井の人々、そしてネイティブ、利害の異なる人々が協力して狂暴なエイリアンと対峙。奪われた家族を、男の誇りを取り戻していく。その中には人間体に姿を変えた美しき善玉エイ…

え、日本列島…? 銀河ヒッチハイク・ガイド

お人よしで紅茶が大好き。冴えない英国人、アーサー・デント(マーティン・フリーマン)。彼の家は理不尽にも取り壊されようとしていました。『デントさん、ここはバイパスの建設予定地なのでご自宅は撤去します』『聞いてないよ!』『計画は9ヶ月も前から…

手に余る、でも欲しい。ブレードランナー/デッカードグラス

何か考えているようで考えてない、アンニュイな表情のパターンをいくつか作って、それを順列組み合わせにして無駄のない「演技」をしている役者といえば・・・。 そう、ハリソン・フォードです。 今回改めて見直してよく分かりましたが、この人、既にこの作…

綺麗にはなりましたが…。 トロン:レガシー

前作から28年。まさかの続編。CG黎明期の“最先端”が、現在のテクノロジーでどう料理されるのか。確かに絵は綺麗になりました。しかし、仏作って魂込めずと言うか、揺さぶられるものがありません。昨今流行のリメイクものと同じ箱。あと10年経っても前作は…

直角に曲がる快感(未だ色褪せぬ時代の記念碑)。 トロン

例えば、この翌年に公開されたアニメ版「ゴルゴ13」を今観たら(少なくともCGパートは)鑑賞に堪えないと思います。本作とて公開から30年。技術の進歩という時の流れの残酷さを目の当たりにしてしまう…のかと思いきや…。何とかつての先端技術が時を経て一…

主役:猫。 SPACE BATTLESHIP ヤマト

なあ、演出とか編集って言葉知ってるか?ただ好きな映画のコピペと自慢のCG並べただけで映画になると思ったら大間違いだぞ。「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(2010年/山崎貴監督)もう、整理がつかなくて途方に暮れちゃう突っ込み所博覧会(アニメと比べてど…

比類無き名コピー。 バッド・テイスト

“グロッと、さわやか” かつてここまで力強く下品でシズル感溢るるキャッチ・コピーがあったでしょうか。 私の中では「オースチン・パワーズ」(1作目)の、 “バカも休み休みイエーイ!” と肩を並べる不朽の名コピーです。 「バッド・テイスト」 (1987年/…

SF=侵略&風刺。 曼荼羅畑的SF映画ベストテン

英国の映画誌TOTAL FILMが「史上最高のSF映画」を選出しました。10位までを上から順に列挙すると、「ブレードランナー」「スターウォーズ/帝国の逆襲」「2001年宇宙の旅」「エイリアン」「スターウォーズ/新たなる希望」「ET」「エイリアン2」「インセプ…

スノッブ向け撒き餌はいいから…。 インセプション

クリストファー・ノーラン監督のデビュー作「メメント」のDVDには、ちょっと変わった映像特典が付いています。 それはリバース・バージョン。 10分しか記憶を保てない主人公の意識を小刻みに遡っていく本編を時系列に並べなおした直球編集版です。 で、こ…

改めてSFはセンスだなぁと。 処刑惑星

「結果を決めるのは状況ではない。能力だ」 朝礼の3分間スピーチに使えそうな名台詞です。本作に当て嵌めて言えば、 「作品の出来を決めるのは(金が無いとか時間が無いとかいう)状況ではない。センスだ」 という事になるでしょうか。 「処刑惑星」(2009…

志は買うがもちっとロボ心を学んでくれ。ロボ・ジョックス

領土獲得の代理戦争として巨大ロボットがタイマン・バトル。選ばれし操縦士たちの呼び名は、 「ロボ・ジョックス」 (1986年/スチュアート・ゴードン監督) しかし、この監督、裾野広いなぁ。85年に「死霊のしたたり」、翌年に本作、「フロム・ビヨンド」「…

これが・・手書き? 王立宇宙軍 オネアミスの翼

『ちょっと待ってくれ、俺はやめないぞ。何がくだらない事だよ。ここで止めたら俺たち何だ? ただの馬鹿じゃないか。ここまで作ったものを全部捨てちまうつもりかよ。今日の今日までやってきた事だぞ。くだらないなんて悲しいこと言うなよ、立派だよ、皆、歴…

デストピアのビジュアルは理屈に勝る。 サロゲート

まともなSFとして観ちゃうと北斗百裂拳並みの突っ込みが入りますが、一種のおとぎ話(もしくは単なる馬鹿映画)として観れば十分合格です。 「サロゲート」 (2009年/ジョナサン・ターミネーター3・モストウ監督) どうしてもサロゲート→サロゲート・マ…

滑空する哲学。 風の惑星/スリップストリーム

テンポが悪いのタルいの地味のと世評は芳しくないですが、敢えて推します。 不動産で言えば“駅至近・南向き・格安。自殺者アリ”な感じの佳作です。 「風の惑星/スリップストリーム」 (1989年/スティーヴン・リズバーガー監督) 文明が死に絶え、谷を渡る…

シュワルツと共にあらん事を! スペースボール

く、くだらね~。でもツボだ。 「スペースボール」(1987年/メル・ブルックス監督) 「スターウォーズ」のパロディですが、きちんとルーカスの許可を取った“純正品”。特撮はILMが手がけています。 ただし、ネタ元映画はスターウォーズに限定していないの…

何だ、ロック様か。ウィッチマウンテン/地図から消された山

ドウェイン・ジョンソンなんて言うから誰かと思ったら、何だ、ロック様か。 「ウィッチマウンテン/地図から消された山」 (2009年/アンディ・フィックマン監督) 邦題からは想像もつきませんが、ディズニー製作のファミリーSFアドベンチャーです。 ベガ…

それでも推す。 第9地区

実は新しいアイディアなんかどこにもありません。 「ザ・フライ」と「第5惑星」を足して「シティ・オブ・ゴッド」で味付けして「ダークマン」と「ロボコップ」を振りかけた、そんな感じの代物です。 異星人を移民に見立てた着眼点と、ドキュメント映像と映…

激突か吸引か。 アルマゲドン2007/アルマゲドン2012

昔、飛行機が出てくれば何でもエアポートナントカにしちゃえ!という時代がありました。調べたら、劇場公開された正規シリーズ(大空港/75/78/80)の他に、エアポート85/94/98/99/2000/2002/2003/2004/2005/2008/2010なんてのがありました。セ…

都市伝説+大ボラ。 フィラデルフィア・エクスペリメント

マイケル・パレとナンシー・アレン。見事なまでにSFが似合わない二人がB級の誉れを華麗に上塗り。 「フィラデルフィア・エクスペリメント」 (1984年/スチュワート・ラフィル監督) その筋ではつとに有名な都市伝説“フィラデルフィア 実験”。 時は194…

トムキャット万歳! ファイナル・カウントダウン

USネイビー(1980)対大日本帝国海軍(1941)の全面戦争を期待すると見事に肩透かしを喰らいますが、タイム・スリップものとしてはなかなかの秀作だと思います。 「ファイナル・カウントダウン」(1980年/ドン・テイラー監督) とにかくスクリーン初…

♪月も火星も遥かに越えて~ ガンマー第3号/宇宙大作戦

何故か頭の中を“♪月も火星も遥かに越えてぇ~ええ~”というメロディが渦巻いてしまいました。 「ガンマー第3号/宇宙大作戦」(1968年/深作欣二監督) 遊星フローラが猛スピードで地球に大接近(どう見ても静止していますが)、ランキン中佐らはフローラに…

何も残らない潔さ。 溶解人間

下敷きは間違いなく昨日の「原子人間」(原典に対し不誠実の極み)。 箸にも棒にもかからないパクリメイクなのに、心の襞にしっかり残る。ひょっとして名作なのか(いやいやいや)。 「溶解人間」 (1977年/ウィリアム・サックス監督) お話は簡単。土星探…